日本の職場で制服を採用しているところは、相変わらず少なくない。しかしながら時代の変化に伴って採用が減少したところと、反対に復活の兆しを遂げている場所がある。
時代を遡ってみると、1986年に「男女雇用機会均等法」が施行され、女性に事務服を着用させる事は、差別の象徴ではないかと真っ先に問題視された事がある。企業は経費の削減にもなるとして、女性社員の制服を廃止する動きが続いた。確かに事務服の支給にはコストがかかり、社内に着替えのためのスペースを確保しなければならない。そもそも、顧客との応対や外回りをすることのない事務職であれば、制服を着用する必要性はない。そしてその後のバブル崩壊を経て、企業のコスト削減により益々その傾向は強まっていった。
一方で、相変わらずの制服文化が根付いている場所や、新規導入をする企業がある。その背景として、企業において制服は「顧客へのサービス」の一つという点が挙げられる。業種によっては顧客が一目見て職種を識別できる事が必要だ。例えば駅員、病院の医師や看護師などはその分かりやすい例である。着用したほうがいい、ではなく着用しなければならないものとも言える。
そして制服着用には「従業員のモチベーションを上げる」という効果もある。同じ仕事をするにも制服を着た時と私服の場合とでは、気分が変わる経験をした方もいるだろう。その為、制服着用は業務へのモチベーションアップに繋がる事が期待できる。その一例を挙げると、某鉄道会社で清掃員に鮮やかな色の制服を導入したところ、スタッフのプライドややる気が向上したという事例もあるようだ。こういった例を踏まえ、指定の制服を着て仕事をしたいという意見もあるのだ。